これまでの経済環境の中で、司法書士業界にとって大きな分岐点になったと思われる事項とその影響について、いくつか列挙いたします。
昨今では過払いバブルを指すようですが、以前には不動産バブルとその崩壊がありました。
地価高騰により、不動産が投機の対象となりました。それにともない、不動産登記件数は増加していく一方だったようです。また当時は今ほど司法書士が多くなかったという事情もあり、営業努力をしなくてもそれなりに仕事が入ってくる時代だったようです。それが、不動産購入に対する融資の総量規制により、地価の暴落とともにバブルがはじけました。これを機に登記件数の増加が落ち着きをみせ、以後は緩やかに減少傾向に向かっています。
※ 総務省 統計局のデータより抜粋
1998年に公布され、同法の施行期日を定める政令により1999年に施行されたのが、債権回収会社(サービサー)制度です。これまで、債権者本人か弁護士しかできなかった債権回収を不良債権の処理等を促進するため、弁護士法の特例として、民間業者に解禁したものです。
不良債権の多くは不動産がらみのものでしたので、司法書士の活躍の場は広がりを見せました。サービサーを大口クライアントとする司法書士事務所も出てきましたし、また有資格者がサービサーで働くという選択肢も出てきました。
2001年にスタートした不動産投資信託(J-REIT)や商業用不動産ローン担保証券に代表されるものです。不動産証券化が活況を呈し、国内外の様々な金融機関が参入しました。不動産を扱うため、司法書士が活躍する場は増え、金融機関で働く資格者、法律事務所でデューデリジェンスを担当する資格者が表れた時期でもありました。また金融の知識も問われるため、会計事務所との共同案件が増加する一方、会計事務所に加わる司法書士も増えていきました。
リーマンブラザーズの経営破たんを機に、世界同時不況となりました。金融機関や不動産会社の破たんが相次いだ時期ですが、司法書士業界にも多大な影響を及ぼしました。不動産登記を扱う事務所においては、クライアント先の破たんや縮小により、登記件数の減少し、従業員のリストラが行われ、中には事務所が解散するという事態も発生しました。
その一方、裁判業務を行っている事務所においては、生活困窮者が増えたこともあり、債務整理や任意売却、破産サポートを中心に業務が忙しい時期でもありました。
登記件数が減少する中で、今後訪れる少子高齢化に対してどのように取り組むかが重要なポイントです。成年後見や相続といった既に顕在化している問題がありますが、司法書士としてどのようなアプローチを行っていくか。今後の役割に期待されます。
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